専任講師
吉野さつき
- YOSHINO Satsuki
メディア芸術専攻教授 / アーツ・マネージャー / ワークショップ・コーディネーター
英国シティ大学大学院でアーツ・マネジメントを学ぶ。公共ホール勤務、英国での研修(文化庁派遣芸術家在外研修員)後、コーディネーターとして教育、福祉などの場で芸術を用いた活動に携わる。劇場や芸術団体によるアウトリーチ事業、コミュニティアーツプログラムやアーティストによるワークショップの企画運営を担う人材育成にも各地で携わり、実務家としての活動とソーシャルアートに関する実践的な研究を行っている。作曲家の野村誠、俳優の倉品淳子、ダンサーの遠田誠と共に異ジャンルコラボバンド「門限ズ」のメンバーとしても活動中。
近年の調査研究に日本財団パラリンピックサポートセンターとの共同による「障がい者の舞台芸術表現・鑑賞に関する実態調査報告書」「障がい者による舞台芸術活動に関するケーススタディ調査」(2106年)がある。2017年度より2019年度厚生労働省の障害者芸術文化活動普及支援事業評価委員。文化経済学会〈日本〉会員
《メッセージ》
「芸術」とか「アート」とか、普段の生活から遠いところにあるように感じている人も多いかもしれません。特別な才能をもった人たちだけがやるもの、観たり聞いたりはするけど自分がやるのはちょっと…とか。でもね、私たちは人生の中でなにかの役割を演じたり、うたを口ずさんだり、嬉しくてちょっと跳ねたりなんかして、思いや気持ちを表現しているはず。アートのはじまりはそんなところにあるんじゃないかと私は思っています。そこから出発して、仲間と一緒にカタチにするのは、たぶん、すごくめんどくさくて、すごく楽しいと思う。ワクワクすること、一緒にやろう。
上田謙太郎
- UEDA Kentaroh
メディア芸術専攻助教 /
神戸生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻修了。人や風景の素朴な美しさを引き出し、映る被写体やそれに関わる人が誇れるような映像作りをしている。監督したドキュメンタリー映画『調律師とピアニスト』(2014年)が第17回ゆふいん記録映画祭でグランプリを受賞。ドキュメンタリー映画作品として、移動式書店を撮った『BOOKBUSは本を届ける旅に出る』(2018年)や、大工の家づくりを撮った『木組みの家』(2019年)などがある。映像作りと並行して、学生時代にコミュニティスペース「三田の家」と「芝の家」に関わった経験から、場づくりやアート・ワークショップの現場に携わる。青山学院大学社会情報学部の特別研究員(2013〜2016年)としてワークショップに関する教材制作や、ワークショップの開発・実施に関わる。また、一般社団法人「こども映画教室」の映画作りワークショップで、講師やスタッフを務める。2020年度より愛知大学文学部メディア芸術専攻の特任助教。
《メッセージ》
人間は美しい風景に出会ったり、魅力的な人に出会ったら、そのことを誰かに伝えたくなる生き物だと思います。誰かと一緒にいる時に、きらめくものを前にしたら、人はとっさにそれを指差したくなるでしょう。「ねえ!これを見て!」と。もしくは隣にいた人とはっと目を合わせるかもしれません。この「指差す」ことや「思わず目を合わせる」という行為が重要です。ここには芸術活動の根源があるのではないかと私は考えます。つまり、美しいもの、面白いもの、感覚を刺激するもの、思考が止まらなくなる何か、そういうモノやコトに現前している時の体験を他者と分かち合いたいという意欲が、人間には元々備わっているんじゃないかと思うのです。そして、他者と共有したその体験は、それぞれの人にとって、どんな詳細を持っているでしょうか?それがどんな「味わい」や「ニュアンス」や「文脈」を持っているか、その詳細を冷静かつあたたかく見つめる眼差しが「メディア芸術」の担い手には必要と考えます。その芸術の担い手になることは、芸術作品の創造者になることだけを意味しません。創る人だけではなく、関わる人や撮る人や場をまとめる人も、そこに居るだけの人も、皆が大事な担い手です。また、「メディア芸術」を実践するためには、まず私たち自身が未知の人や場所に出会わないと始まりません。遠くに行く必要はありません。先人の知恵を学びながら、身の回りの世界をよく見直してみると、今までに気づいていなかった面白さに気づくでしょう。それに気づくための視点や、発見したことを社会に提示していくための方法を一緒に考えましょう。